"西域の流砂に埋もれる者達を顕せる風の如く"
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さいとう天心の新しい名刺です。
さいとう天心(1956~)
弘前市千年2-10-1
<造形作家>
1・ハンコYA / 各地で「ハンコ de らいぶ」を開催中。3本以上の制作依頼を受け、日 時・場所を設定≫その場でらいぶ。個人、グループ、家族単位に対応.その時限り のオンリーワンらいぶ。
2・木彫りYA / 様々な木材で皿・椀・オブジェの制作。
3・板刻YA / 等身大の板にアウラを移し採り刻す。梟に変換して人の絵姿を彫り付け る、バンコクする。
4・うるしYA / 古机・小箪笥等に摺り漆を施す・みちがえるよう!
5・こよみYA / よみやの暦・津軽の暦の制作。
6・こらぼYA / クリエイターとのコラボレーションシップ。
小野英樹(風の木工)・横内陽子(光のブーケ)・宮地令子(樹皮アート)
中川俊一(人形ねぷた組師)・大瀬恵美子(古布クチュール)
どうぞよろしくお願いします! 天心
第9回 人形ねぷたと扇ねぷたの違い
人形ねぷたと扇ねぷたの違いとは、もちろん形状は違うわけだが、前回までに述べたように、その歴史も違う。そして、今回述べていきたいのは、制作作業の違いである。
まずは人形ねぷた。
その制作は何と言っても、作業量が桁違いに多い。
少なくとも一ヶ月以上は、手の込んだ作品ならば数ヶ月はかかってしまう。特に手間のかかるのが、紙貼りの作業である。
針金や竹で組まれた骨組に一マスずつ和紙を貼っていくわけだが、そのマスの数は一体の人形ねぷたで軽く千マスは超える。また、この骨組を組むのもなかなか大変な作業だ。
さらには、内部に設置する電球は四、五百個、土台に貼られる絵の枚数は二百五十枚以上と、すべてが桁外れで、とても手間と時間がかかる。
けれども、骨組を作る作業以外は、どれも難しいものでは無く、器用な子なら中学生にもなれば、立派に作業に参加できる。
人形ねぷたは「手間がかかる」と言われることが多いけれど、違う言い方をすれば、「様々な世代のたくさんの人間が作業に参加できるねぷた」とも言えると思う。
一方の扇ねぷたは作業量は人形ねぷたに比べると少ないが、あの巨大な鏡絵と呼
ばれる武者絵を描くには、相当な技術力を必要とする。
相当に日本画の技術を持った人間でも、あのサイズで描くのは容易ではないと思う。画用紙ほどの大きさの下絵を拡大して描く方法もあるようだけれど、それでもあの大きさで勢いがある美しい墨線を描くのは、至難の技であろう。
こうして見ると、扇ねぷたは熟練した技のねぷたと言えるだろう。
このように、双方を比べてみると、作業量や技術力にいろんな違いがあると私は思うのだ。
ちなみに、現在の弘前ねぷた祭りの両者の割合は、人形ねぷたが1、扇ねぷたが9となっている。
その膨大な手間は大変だが、人形ねぷたを手がける私としてはもう少し人形ねぷたが増えてほしいと思う。
作る喜びとできた達成感をみんなで分かち合える人形ねぷたは、いろいろな意味で現代社会が求めている役割を持っていると、私は思うのである。
参考文献 藤田元太郎 著作『ねぶたの歴史』