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   "西域の流砂に埋もれる者達を顕せる風の如く"
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誰かの背中。
大きな温もりの向こうに見え隠れする遠い闇。
何処までも行く先に広がっていてとてもじゃないが泣き止むなんて事は出来やせぬ。

もう何度目かの背中と手ぬぐいとの往復の後かすかに聞こえる足音とは違う音。
闇は近くなり峠のテッペン辺りで山の陰と重なり、ふとふと向うにまあるい灯が揺れて背中で揺られて。

遠くからの丸い太鼓で呼び起こされた。

         包み込まれていた。
 
目に飛び込んでくる鋭い叫び声。くるくると五色の光の輪。着物の裾をはだけて血だらけの女が出刃包丁を手に呆然と立ち尽くしている。

街の映画館から立ち上る威勢のいい煙と騒々しいほどの炎の中を母の手に引っ張られていく。映画館の子とは友達で、ちょっと年上。ヒコウキ、グンカンのプラモデルを部屋中に散らばして、あっちを飛んだりこっちで沈んだり。

  焼け跡は我等の格好の遊び場と化す! 

柱時計のバネ、文字盤、振り子! 赤黄青の茶碗のかけら、ヤカン、箪笥の取っ手、鍋の蓋、よく切れるガラス板、何かの輪っか。
レンズ!!
zerosenとyamatoは消えていた。

 数日後、焼け跡にパチンコの台。筋向いのパチンコ屋が類焼を受け新台入れ替え。いつもは土間に落ちている玉を拾ってビー玉代わりにに使っていた、台には背が足りず手が届かなかった憧れの台が十数台。周りには焼けてくすんでるけどあの玉が無尽蔵・・・ 
打ち捨てられた台の穴に玉を入れ、初めて弾いた。

チーンコココ、チーンコココ、チーンゴゴゴ。

近づいてくる、耳のすぐ下にある丸みの帯びた暖かいレールから響いてくる。
石炭を積んだトロッコが通り過ぎると同時に砕け散る小石の列。

30連発があっちとこっちだからかなりカッコいい。

朝霧の立ち込める川原には、そちこちの山々から切り出された木々の生の匂いが綿菓子のように塊となって浮かんでいる。その綿のひとつに潜り込んで抜けて出た。


 振り向くとそこはオガクズの山。


山の向うに何があるんだろうとボンヤリ考えてた三つ四つ頃の原点。





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[西域の砂に埋もれる遺跡の上を吹きつづけている風のように]
  
     木を木に木で、自らを道具とみなして。
 
自分はどこから来てどこへ行こうとしているのか、果てのない流れの内で木と向き合う。
否、向き合わされている。
いつものように答えを出さなくてはならない問い
「お前はいったい何者だ!」
・・・・・・・・・・・・・木の側からなされる。
百、二百、五百千年の永い思惟と意志を伝えようとして。

なんにも分かっていない、唯刃物を手にしてるだけでそこから一歩も動けず立ちすくんでるだけの者の前にガンとして居座りつづける。

私の持つ刃物はやがて微粒子となり木の内に滑り込み、流れは意識と思考とを活躍させ黙していた者に月日を語らせ始めていく。月日年月は量りしれなく、結果として向き合っているはずの私は私自身と向き合わされている。

「エイッ!なれば汝の思いのままよ!」ってんで鉈で割って入ったその隙間、その先っぽにチョンと居ますは五歳の気持ち。
「あっれ?そんなとこに居たのかあ」
と一安心してる間も無く元の百二百、五百千年に逆戻り。

急かされて声のする方を見やれば、吹きすぎる風の間に探していた王の姿。

王よ、あなたは何処から来て何処へ行こうというのか
また問いかけつ木の前に
                 いる。
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